ヴァイオリンはお金持ちの習い事じゃない!実はピアノよりお金はかからない件 ヴァイオリンのメリット・デメリット
日本ではなぜかお金のかかる習い事と思われているヴァイオリン。
実際に習わせてみた感想も含めながら、習い事としてのヴァイオリンをするとどのくらいお金がかかるのか(ピアノとの比較)、どうしてお金持ちの習い事と思われてしまうのかなどをまとめてみます。そして、趣味として習って何か良いことはあるのかなど、ヴァイオリンを習うことのあれこれを紹介します。
意外と知られていない良い点も多いですので、習い事のひとつとして気になっている方はぜひ読んでみてください。
- そもそもヴァイオリンを習うにはどのくらいお金がかかる?ピアノやほかの習い事との比較
- 分数楽器を経済的に(安く)手に入れるには?
- ピアノにはないヴァイオリンの良いところ(メリット)は?
- ヴァイオリンの習い事のデメリットは?
- ヴァイオリンの習い事について、まとめ
そもそもヴァイオリンを習うにはどのくらいお金がかかる?ピアノやほかの習い事との比較
お金がかかるイメージは、おそらく楽器代からきていると思います。
ヴァイオリンに限らず楽器をする場合、楽器を買うことになるので、ヴァイオリンだけに購入の負担があるわけではありません。
日本メディアが高級楽器のイメージを作っている
ですが、ヴァイオリンの場合はとくに何億円もするような名器がテレビで取り上げられており、桁外れの高級品のイメージが根付いているのではと思います。
プロのヴァイオリニストでもこのような超高級楽器は買えないケースが多く、所有者から借りている場合もあります。
趣味の習い事としてヴァイオリンをする場合、何億円はともかく何百万~何千万もする楽器の心配は全くしなくて良いと言えます。
サイズアップ問題の問題は?何歳からが良い?
身体が150cm程度になるまで、身体に合わせたサイズのヴァイオリンに次々と変えていかなければいけないのも、ヴァイオリンが敬遠される理由のひとつだと思います。
親子の負担のことを考えると、あまり小さいうちよりも年長~小1くらいに始めるのが良いのですが、この頃の身長からすると1/8か1/4ヴァイオリンから始めることになります。
1/8、1/4、1/2、3/4、フルサイズとなるため、最大5つのヴァイオリンを揃えなければと思うと、保護者にとってのハードルが高いです。
しかし、急成長がある場合はひとつとばしになることもあり、とくに3/4を飛ばしてフルサイズになるケースは結構あります。
中古楽器の利用やレンタル、下取り・または個人な売却などをすると、実はピアノより楽器代がかからなかったりします。
高い楽器=良い楽器ではない
勘違いされていることも多いですが、高い楽器を買ったからといって上手くなるわけではないです。演奏のプロを目指しているような特殊なケースでなければ、子供のうち(分数楽器)から何十万もする楽器を揃える必要もありません。
通販で出ている格安セットは楽器として成立していないことが多いのですが(セットで1万円など)、先生を通して探したものや、弦楽器を販売している店から購入したものであれば、練習用としては使えます。
なかには鳴らない楽器もあるので(値段ではなく個体差)そこは注意したほうが良いですが、コストパフォーマンスのよい分数楽器の工面さえうまくいけば、子供のうちからヴァイオリンを習わせるハードルがぐっと下がります。
習い始めてしばらくは音程や弾き方(持ち方)すら安定しませんので、たとえ良い楽器を与えたとしても、まともに弾けるまでには時間がかかります。
「使える(チューニングができ、楽器として成立している)」楽器をきちんと選ぶ必要はありますが、必ずしも「良い楽器を与えないと上達しない」わけではありません。
たとえ3万の楽器でも毎日ポイントを押さえてきちんと練習していれば、20万の楽器を買ったけれど遊び程度にしか練習していない人より、うまくなれる可能性があります。
文章で書いてもわかりにくいため、かかる費用をピアノと比較して表にまとめてみました。
他の習い事とそこまで大きな違いがないことを書くため、スイミングも表に載せてみました。
スイミングは筆者が知っているスポーツクラブの制度をもとにして書きましたが、内部事情に詳しくないためあくまで参考程度です。
ヴァイオリン | ピアノ | スイミング(参考まで) | ||
年長(1年目) | 月謝 | 約9000円×12 | 約8000円×12 | 約9000円×12 |
楽器代など | 1/8ヴァイオリン購入 (練習用の為廉価楽器、または中古) 約3万円 ※レンタルも可 |
中古アップライトピアノ、 または電子ピアノ上位機種購入 20万~50万程度 |
スポーツクラブ入会費約5000円+年会費約5000円 指定水着代 約5000円 計 約1万5000円 |
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その他かかるもの | 1年目は通常発表会なし 松脂や譜面台を購入約3000円 |
発表会費 約1万円 | スクールバス代 毎月1000×12=1万2000円 | |
小1(2年目) | 月謝以外の費用 | 発表会費約1万円 1/4ヴァイオリン購入 約3万円 ※レンタルも可 |
発表会費約1万円 アコースティックの場合調律費 約2~3万円 |
指定水着代(サイズアウトの為)+バス代+年会費 約2万円 |
小2(3年目) | 青字の毎年の費用以外にかかる費用 | |||
小3(4年目) | 月謝以外の費用 | 1/2ヴァイオリン購入 約3万円 ※レンタルも可 |
レッスン回数を増やすと月謝に+2000円程度 |
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小4(5年目) | 月謝以外の費用 | レッスン回数を増やすと月謝に+2000円程度 |
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小5(6年目) | 月謝以外の費用 | 3/4ヴァイオリン購入 約3万円 ※3/4はスキップする場合もあり |
選手になった場合、月謝代+4000円程度 |
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小6(7年目) | 月謝以外の費用 | フルサイズヴァイオリン購入 (練習用の手頃なもの、中古含む) 7万くらい~20万程度まで |
選手になった場合、月謝代+4000円程度 |
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中学生以降 | 今までの費用以外に掛かるもの | 弦の張り替え 約5000円(年単位) | グレードの高い新品アップライト、またはグランドピアノ(中古含む)への買い替え 100万~200万程度 |
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大人で続ける場合 | 将来的に(大人になった後、本人が工面することが多い) | グレードの高いヴァイオリンへの買い替え、20万円くらい~上限なし | 防音室や引っ越しの心配など |
赤字の分数ヴァイオリンの値段は仮に3万円としています。(最低ラインがだいたいこのくらいのため)
日本メーカーのスズキの場合だと、大量生産の安価な物なら新品で5万程度です。
中古があればもう少し下がりますし、海外メーカーのもの(中国など)だと新品でももう少し安いものがあります。
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月謝は教室にもよりますし大差ないのですが、
ピアノは最初にどんと大きな楽器代がかかるため、分数楽器を上手に揃えさえすれば、トータルではピアノのほうが費用がかかると言えます。
中学生以降のピアノの買い替えはしないにしても、最初からある程度のものをそろえるとなると、ピアノのほうが負担が大きいように感じます。
(最初に費用を抑えた場合、長く続ける場合はピアノを買い替えることになります)
また、アコースティックピアノでは必須の調律代も盲点です。
ヴァイオリンの場合、フルサイズになるまでに途中で辞めた場合、その後のヴァイオリン代はかかりません。
ピアノは経済的には決して安いといえない習い事にも関わらず、子供の習い事の定番となっています。
ピアノはごく一般的とされているのに、ヴァイオリンを習わせる家庭はあまり多くありません。
コストパフォーマンスのよい分数楽器が、日本では海外ほど手軽に手に入れられないのが大きな原因だと筆者は感じています。
しかし、やたらとヴァイオリンが特別視されて「お金がかかる」と思われるのは、実はイメージの部分が大きいです。
ピアノや他の楽器と比べると大差ありませんし、スポーツなど別の習い事も意外な出費が多いため、ヴァイオリンだけが特別高額なわけではありません。
分数楽器を経済的に(安く)手に入れるには?
中国製=悪ではない
ヨーロッパ製の楽器は良く、中国製の楽器はだめと思われている節があります。
中国製の楽器にも良いものはありますし、ヨーロッパ製の楽器にもダメなものはあります。完全に個体そのもの、または製作者・メーカーなどの問題です。
日本ではヨーロッパ製の楽器のほうが断然良いと思われるため、それだけで値段が高く設定されていることがあります。
中国製のなかにも子供の練習に問題なく使える良い楽器もありますので、そのあたりを見極め、納得できる価格で納得できる楽器を手に入れることが重要です。
使う期間が短い分数楽器は中古がお得
子供の成長の仕方次第ではありますが、分数楽器は1~2年くらいしか使わないことも多いです。
「使える中古を見つける」ことで、ぐっと費用を抑えることができます。
中古は前に他の子が練習に使っていたものなので、楽器店や先生を通せばなおさら、「明らかなハズレ」にあたってしまう確率は下がります。
サイズが合わないと使えない楽器なので、対象者になれば「比較的低価格」で譲ってもらえることも多いです。
また、大量生産の新品ヴァイオリンは、基本「試奏」して買うことができませんが(弓に松脂をつけると新品でなくなるため)、中古であれば試奏できるため、音の感じや不具合などを確認してから購入に踏み切ることができます。
最初の楽器は大量生産の新品にして、子供が少し弾けるようになったら中古の楽器を「弾いて」探すこともできます。
中古はあまり数ないため、見つけたら早めに決める決断力が大切です。
下取りや個人売却でかしこく
分数楽器にある程度費用をかけても良い、という金銭的余裕のあるケースであれば、サイズアウトしたものを楽器店で下取りをしてもらうこともできます。ただし、下取りがあるのはある程度の値段の楽器の場合です。
安価な楽器の場合でも、個人で売却して次のヴァイオリンの予算にすることは可能です。分数楽器をずっと家に持っていても仕方ありませんので、兄弟のいない場合、思い入れのある楽器以外は売却も視野に入れると、フルサイズ購入の際に役立ちます。
レンタルできる場合もある
先生が手持ちの楽器を貸し出しているケースもあります。
手頃な楽器が見つからない場合、レンタルを利用することもできます。
先生によっては厚意で貸してくれる場合もあります。
ただし、レンタルの場合、購入の場合以上に楽器の扱いは丁寧にする必要があります。
楽器店のビジネスには気を付けて
日本はヴァイオリンがあまりメジャーでないことから、なかには良心的とは言えない楽器店もあるように思います。
店舗によりますが、なかには楽器店内の教室に入会した生徒に、自社で売っている楽器を強制的に買わせているところもあるようです。
一部、うまいことを言って高額な物ばかりへ誘導してくるところもあるので、はっきりとした予算の上限をあらかじめ決めておくと良いです。
「自社製のヴァイオリンでないと絶対ダメ」と言ってくる場合は100パーセントビジネスと考えてください。
ピアノにはないヴァイオリンの良いところ(メリット)は?
自分の楽器を持ち運ぶことができる
これはかなり大きなポイントだと、個人的には思います。
ピアノだと、ピアノのある会場でしか弾けませんし、ピアノがあっても電子ピアノやキーボードというケースも多いです。
自分の楽器を持ち運んで、どこでも演奏できるというのは、趣味で音楽をする人にとってとても大きなメリットです。
もちろん、野外での演奏も可能です。
住む場所に左右されない
マンションに住んでいる場合、ピアノだと電子ピアノしか置けないか、アコースティックピアノを置けてもあまり音の出せないケースも多いです。
ピアノの音は階下へと響くため、騒音トラブルにもなりやすいという欠点があります。
その点ヴァイオリンの音はピアノほど大きくなく、家の窓を閉めていれば、外からはあまり聞こえない程度の音量です。
子供のうちはそれほど音量も出せませんので、家庭用のマンションで日中であれば普通に練習できるケースが多いです。
引っ越しの際も、ピアノのように運送費用がかかることなく、自分の手で持っていけます。
また、航空会社によっては数千円程度の費用はかかりますが、留学や移住の際にも、飛行機の預け荷物として海外へ持っていくことができます。
アンサンブルを楽しめる
他の楽器とのアンサンブルが楽しめるのもヴァイオリンならではです。
ヴァイオリンソロの場合も基本はピアノ伴奏がつきますし、ヴァイオリンはもちろん、他の弦楽器などとのアンサンブルも楽しめます。
ピアノは基本は一人なので、一人だと楽しくないと思う子には、ヴァイオリンは向いています。
弾けるようになるとオーケストラなどの合奏に加入することもできますので、趣味でも活躍できる場があります。
ヴァイオリンさえ弾ければ子供でも参加できるものもありますので、音楽をたくさんの人と一緒に楽しみたい場合にぴったりです。
人口が少ないためあまり比べられない
多くの子が習っているピアノに比べ、ヴァイオリンを習っている子供はそう多くないようです。そのため、変に比べられたり、周りを意識してしまうことなく、のびのびと音楽ができるように思います。
小さい子供だと、単純ですが「自分だけの特別な習い事」のような感情になりやすく、習っていることそのものを楽しいと思える一因になります。
ヴァイオリンの習い事のデメリットは?
低年齢のころは家庭でのサポートが必要
ヴァイオリンはピアノ以上に家での練習に左右されるといえます。
最初は持つことすらままなりませんし、正しい音程で普通に弾けるようになるまでが大変です。
3・4歳から習わせるという話も聞きますが、練習のことを考えると、ある程度本人の理解力が出てくる小学校入学前後に始める方がおすすめです。
3・4歳から始めると家庭でもサポートが大変すぎて挫折してしまう可能性があります。
毎日練習させた上で、ある程度は家庭でのサポートもないと、なかなか弾けるようになりません。そのうちだんだん弾けるようになってきたら、少しずつ手を離していけます。
最初の1・2年がとくに親子ともども大変な楽器ですが、小1くらいで初めて続けていれば、簡単に弾けないヴァイオリンを弾けるという一生を通じての「特技」になりえます。
ただし、某メソッドのような英才教育系教室(3歳など低年齢からのスパルタ方式)の場合、「単にヴァイオリンを習う」ということ以外に、「組織的」な苦労があることがあります。そのため、教室・先生選びは慎重にしたほうがよいです。
ごく普通の教室であれば個人レッスンですし、組織的なあれこれは皆無に等しいです。
万一ヴァイオリンの専門に進学するならピアノも必要になる
「趣味」として習わせていても、万一途中で専門に行きたいと思った場合、日本では音楽科の受験にはピアノが必要なケースがほとんどのようです。
ヴァイオリンだけ習っていてピアノが弾けない場合、そう決めた時点からでもピアノを始める必要性に駆られます。
ヴァイオリンを極めるだけじゃ専門の道に行くとき困る・・・というのは、矛盾している気もしますね。
このあたりが日本でのヴァイオリン人口が増えない理由のひとつかもしれません。
ただ、遅くにピアノを始めて、ヴァイオリンで大学へ進むケースも珍しくないようです。
我が家では進学などはあまり考えていなく、人生の楽しみのひとつとして習わせています。ピアノも趣味で習う人が大半ですから、ヴァイオリンは良い面も多いですので、もっと習い事として普及するといいなと思います。
ヴァイオリンの習い事について、まとめ
こうして紹介したように、ヴァイオリンは世間で思われているほど特殊な楽器ではないですし、お金持ち限定の習い事でもありません。
毎日練習すること、練習の方法は、「バイリンガルの教育」や「勉強」にも通ずる部分があると感じます。
なにもヴァイオリンを仕事にしなくとも、毎日努力を積み重ねる経験は、子供の人生のいろいろな面で役立ちます。
勉強や仕事で行き詰ったとき、ほっと息をつける場所にもなりえますので、興味がある方は検討の価値はあると思います。