トライリンガル目線での英語!子供の育て方 バイリンガル日記

国際結婚し長い海外生活を経た筆者の目線で、英語(多言語)や子育て、音楽を主なテーマとし、役立つ情報や社会への想いを綴るブログです

モーツァルトのソナタの難易度や弾き方は?簡単なようで難しい。子供にも弾けるのが魅力?

モーツァルトピアノソナタの難易度を、ピアノ経験がなくても分かるように解説します。簡単なようで難しいと言われているモーツァルトソナタ。簡単なようで難しいって何でしょうか?裏を返せば丁寧に練習さえすれば、特別高度なテクニックがなくて、子供でもとりあえず弾くことはできます。しかし、深くつき詰めると、永遠に終わりはありませんし、耳慣れたCDの演奏に近づけようと思うとすごく難しいです。

このあたりを解説しながら、モーツァルトソナタを弾き始めた子におすすめの曲、弾き方や練習のポイントも紹介します。(以前モーツァルトソナタについて書いた記事が好評のため、追加記事です)

 

 

 

 

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モーツァルトソナタは子供にも弾ける?

モーツァルトは子供にも弾けるのでしょうか?子供といっても人による違いが幅広いですが、目安としてはブルグミュラー25の練習曲集を終え、全音ソナチネアルバムを半分くらい弾いたくらいからチャレンジできるようになります。

全音ソナチネアルバムにも、モーツァルトソナタK545が一曲入っています。

ということで、チャレンジしてみることは、大体このあたりからできます。

K545は、CDで聴くような速いテンポできちんと弾くことは実は難しいのですが、小学生の間に弾く人も結構います。

 

ということで、ソナチネアルバムの曲がある程度弾けることが目安となります。

ソナチネアルバムというのは全音という出版社が作った教本なので、この教本を使っていない場合、

ソナチネソナタとタイトルに付いた、3楽章(曲によっては2楽章の場合もある)から成る曲がなにか弾けると考えても良いです。

※このソナチネソナタというのは曲の形式のことで、ソナチネのほうがソナタよりも規模が小さい(曲が短い)です。

 

ソナチネアルバムの曲を弾けるからモーツァルトソナタも弾ける、ではなく、このあたりから徐々にチャレンジしていけるという意味です。

モーツァルト

オクターブ(ドからひとつ上のドまで)が届けば弾ける

テクニック的なことはひとまず置いておいて、手の大きさだけを考えた場合、モーツァルトソナタはオクターブが届けば弾けます。

曲によってはオクターブの連続が出てくる箇所もありますが(有名なトルコ行進曲にも出てきます)、オクターブを超える和音が出てくることはないです。

オクターブがいつ届くようになるかというのは体格によって違いますが、手の小さい子でも小学校高学年、中学生あたりになってくれば練習を積むと届くようになるケースが多いです。

 

譜読みはシンプル 名曲の入門としても・・・

モーツァルトの譜読みは、そこまで複雑ではありません。

調合(曲の最初についているシャープやフラット)もせいぜい3つ、1つや2つのことが多いため、譜読みが苦手な子にとっては、最初のハードルは低いです。

(この譜読みもつき詰めていくと奥が深いのですが、単純に書いてある音を読む譜読みのことを書いています)

ショパンドビュッシーなど、ロマン派以降の名曲を弾こうと思うと、多くの子供の場合まず難しく感じるのが譜読みです。しかし、モーツァルトソナタはその点シンプルな譜面です。

複合リズムなど、頭のこんがらがりそうなものもほとんどないので、曲によってはショパンのワルツを弾く前の段階でも取り組めます。

 

子供らしい弾き方でも素敵に聞こえる

 モーツァルトの曲は無垢で愛らしく、明るいものが多いです。

そのため、子供が何も考えずに弾いても、弾き方がちゃんとしていればとても上手に聞こえます。

哀愁漂う大人の雰囲気で弾く曲はあまりありません。(実際は部分的にはありますが・・・全体的な雰囲気のことです)

感情的な表現をする箇所もあまりありません(ロマンティックな曲とは弾き方がちょっと違います)。

 

逆に言うと余計なことを考えない子供だからこそ、モーツァルトらしく弾けてしまうこともあります。

ということで、指がよく動き、粒をそろえて弾くことができれば、子供(成熟した大人でないという意味)にとってモーツァルトは表現しやすいと言えます。

 

CDならおすすめはマリア・ジョアン・ピリスの録音

数えきれないくらいたくさんのピアニストがモーツァルトソナタを弾いていますが、個人的に一番好きなのはマリア・ジョアン・ピリス(Maria Joao Pires)の演奏です。

「はつらつとした元気なモーツァルト」も良いのですが、ちょっと大人の女性の雰囲気漂うモーツァルトといいますか・・・

モーツァルトの曲への印象も変わる素敵な演奏なので、まだの方はぜひ聞いてみてください。個性派というわけではなく、弾き方は極めて正当派だと思います。

それでいてこのあふれる魅力!一度聴いたら忘れられません。

 

 

簡単なようで難しいって何??

こう言われることが多いモーツァルトソナタですが、どういう意味でしょうか?

上述のとおり譜読みはシンプルですし、ぱっと楽譜を見た感じは簡単そうに見えます。

 


Mozart, Piano Sonata in C major, No 16, K 545, Allegro

 

こんな感じで調合(シャープやフラット)もないですし、ぱっと見簡単そうに見えませんか?

連符や楽譜が入り組んだ感じもないですし、シンプルに見えます。

 

実際に鍵盤を押してみるのが一番分かりやすいのですが、書いてある音(ドレミファソラシド)を、書いてある通りのリズムで鳴らしても、CDで聴くようなモーツァルトには聴こえません。

両手の音を鳴らしていたとしても、なんか違う・・・

 

ペダルで誤魔化せない

モーツァルトの曲は、ペダルをずっと踏んで弾くということはあまりありません。

大抵の場合はアクセントペダル、ところどころ軽めに入れることが多いので、ペダルで誤魔化すことができません。

弾き方の粗が、直接演奏に響いてしまいます。

 

音の粒を揃えるのがポイント(練習が必要)

音の粒が揃っていないと(音量や音質が揃っていること)、綺麗に聞こえません。

完璧に音の粒をそろえ、綺麗に指でつなげていないとモーツァルトらしいコロコロっとした音がでないのですが、これがとても難しいのです。

 

最初のうちはリズム変奏や、音の強い弱いを変える、スタッカートにするなどを組み合わせながら、ひとつの箇所を繰り返し繰り返し練習していくことになります。

 

シンプルな分、きわめて正確に弾く必要がある

 譜面がシンプルで音の数が少ない分、音の長さや休符の長さ、拍子のとり方など、細かい部分をかなり正確にして弾かないと、崩れて聞こえてしまいます。

0.01秒くらいの厳密な長さまで正確にするのは、ピアノを長く習っていてもなかなか難しいです。

分かっていても忘れている部分というのが誰でも必ずありますので、そこをいかに潰していくかが勝負です。

ペダルをあまり踏んでいない分、鍵盤を離すタイミングを正確にしないといけません。

 

また、ただ正確なだけでもダメで、その上で音楽的に美しく弾かないといけませんし、タッチを微妙に変えて美しい音で弾く必要もあります。

 

なんだか書いているだけでとてつもなく難しく感じてきました。

このような理由から、ピアノ歴が長くなってくると、あまり人前(発表会など)でモーツァルトは弾きたくないと思うケースも多いです。

粗が目立って実際は相当な練習が要るにもかかわらず、派手さや華やかさには欠ける部分があるからです。

 

完璧で素晴らしいモーツァルトは、他の曲に負けず劣らず美しいですが、実際それだけの演奏をするのは本当に大変です。

相当な裏付けと自信があってこそ弾ける曲とも言えます。

 

モーツァルト ソナタのおすすめ曲(難易度つき)

ソナタ12番 K332 第3楽章

12番 K332というと第1楽章がとても有名でテレビなどのBGMでもよく耳にします。このK332はモーツァルトソナタの中では比較的取り組みやすいソナタです。

ソナチネアルバムの曲だとちょっと物足りないと思えたころや、発表の為に少し難しめの曲に挑戦したいときにおすすめです。

 

1楽章も素敵なのですが、個人的に好きでおすすめしたいのはこのK332の3楽章です。

 

Mozart. Sonata para piano nº 12 en Fa M. Kv 332 III-Allegro Assai Partitura e Interpretación

 

 高速で弾かれるキラキラした音がとても魅力的ですよね。

聴いた感じとても難しそうに聞こえますが、実際弾いてみるととてつもなく弾きにくい箇所はあまりなく、基礎的なことができていれば大体弾けます。

最初はこんなにスピードを上げなくてよいので、ゆっくりのテンポできっちり練習していくのがコツです。

1楽章もとても良いので、この3楽章を弾けるようにすれば、ゆったりした2楽章を弾いて全楽章通して弾くこともできます。(1.3楽章が弾ければ2楽章は技術的には難しくありません)

全楽章通すと壮大な音楽となり、一段とピアノを弾く楽しさを味わうことができます。

 

難易度としては1楽章より少し上で、特に展開部(真ん中の部分)が少し難しいです。

ただ、丁寧に譜読みしてゆっくり練習することで弾けるようになりますし、逆にいえばこの部分さえ弾ければあとは全部弾けるはずです。

 

高速16分音符をキラキラと弾く部分も、しっとりと歌う部分もあり、ところどころ憂いを感じる大人っぽい部分もあります。

 

 

練習のポイント

 

この曲の展開部(真ん中の部分)は、左手の音をよく聞きながら練習することもポイントです。

 

左手を歌いながら、右手16分音符のなかに埋もれているメロディーラインも意識して弾くと良いです。(この動画だと94小節あたり~)

右手のメロディーラインではない方の連打音は、抑えめに弾きます。

 

その次にでてくる一気に駆け上るアルペジオ(分散和音)(98小節など)の部分は、左手の部分と右手の部分が繋がっているように弾けるようにします。

 

また、この曲に限ったことではありませんが、練習のポイントとしては必ず片手ずつ練習したうえで、ものすごくゆっくりから練習し、ミスがなくなるまで決してテンポを上げないことです。

 

ミスがあるうち(つかえて、つなげて弾けない段階)から速く弾こうとしても、同じところを間違えるばかりでなかなか綺麗には弾けません。曲に聞こえないようなものすごくゆっくりからスタートしたとしても、この練習法のほうがはるかに効率が良いです。

 

ソナタ9番 K311 第1楽章

あまり有名ではないですが、ソナタ9番の第1楽章も、とても可愛らしく、弾き映えのする素敵な一曲です。有名すぎないので、発表会などで人とかぶらないモーツァルトの曲を弾きたいときにもおすすめです。

 


Wolfgang Amadeus Mozart - Piano Sonata No. 9 in D, K. 311 [Complete] (Piano Solo)

左手と右手を交差する部分が出てきたり、弦楽の要素のある部分があったりと、とても面白い曲です。

 

難易度としては上で紹介したK332より、気持ち難しい程度と思いますが、得意不得意にもよりますし、それほど大きな差はないです。

 

 

練習のポイント

フォルテ(強い)とピアノ(弱い)の違いを明確につけるだけでも、とてもメリハリのある演奏になります。正確に、はっきりと、ときにペダルも利用して強弱をつけると良いです。強弱を切り替える直前に呼吸をすることを、忘れないようにしてみてください。

 

また、展開部(中間の部分)に16分音符ばかりが続く箇所があり、ここは練習しているとどんどん速く弾いてしまいがちです。

弾けるようになった段階で、いったんテンポを落としてメトロノームに合わせる練習を入れてみると良いです。

自分がどこで速くなってしまいがちなのか分かっていると、弾きながら速くならないようコントロールすることができます。

メトロノームを使った練習は退屈ですが、これを入れるか入れないかで、仕上がりが大分変わってきます。

 

第3楽章(動画9分10秒より)

このK311は第3楽章もとても良いのです。

全体的に可愛らしい雰囲気なのですが、展開部(真ん中の部分)は雰囲気が一転してちょっぴりドラマティックになります。

左手にメロディラインがくるあたりが、ちょっと弾きにくく難しく感じると思います。

そのぶんやりがいもあり、弾けるととてもカッコ良いので、1楽章が楽に弾ける方はチャレンジしてみてください。

 

後半にはカデンツァ(即興的な部分)も出てきて、聴かせどころも多いです。

カデンツァは短いですが、とてもピアニスティックで弾いていて楽しい部分です。

カデンツァは特に難しくなくすぐに弾けてしまうので、楽譜を持っていたらぜひ弾いてみてください

 

第2楽章(動画4分17秒より)

筆者はこの曲の2楽章もとても好きで、あまり有名ではありませんが、とても心落ち着く素敵なメロディーです。テクニック面では1楽章や3楽章よりも弾きやすいです。

 

これぞモーツァルトというような、癒しのメロディで、弾いていてとても和む一曲です。

ゆったりな曲ですが、強弱はしっかりつける箇所があります。

 

モーツァルトピアノソナタ 演奏の手引き

モーツァルトソナタを始めて弾く場合は、このようなモーツァルトソナタの演奏の手引きを読んでみるのもひとつの手です。

先生や奏者によって考え方の違いというのは多少ありますが、その考えの元となる基準を知っていると、より理解が深まります。

分からないけどなんとなくこう、と思って弾くよりは、諸々を理解したうえで弾いた方が演奏に説得力も出ます。

 

モーツァルトソナタでおすすめの楽譜

ウィーン原典版1巻

 

 

このソナタ9番 K311はウィーン原典版だと1巻に入っています。

 

前にも紹介しましたが、ウィーン原典版は楽譜も正確ですし、子供や手の小さい人にも弾きやすい指使いが載っています。

輸入の楽譜はものによっては指使いが大変(手が大きくないとできない)なこともありますが、この楽譜は手が小さ目の人でも弾けるように工夫がされています。

 

モーツァルトの楽譜はちゃんと選ばないと、音が違う・・・ということも結構あります。ちょっとフレーズが違うなどではなく、音が違うのです!!これは大変です。

筆者はこれで失敗したことが結構あります・・・

ウィーン原典版はその心配は全くありません。

他の楽譜ですでに弾いていても、弾きにくいと感じるときには、指使いなどを参考にするのも手です。

楽譜を途中から変えるのは大変なので、初めて弾く場合はこちらの楽譜がおすすめです。

 

ウィーン原典版2巻

最初に紹介したソナタ12番K332の楽譜は2巻にのっています。 

 

 他のソナタも紹介したかったのですが、細かい曲の紹介は思ったより時間がかかりました。

モーツァルトソナタはたくさん検索されているようなので、また機会があれば新たに記事を書くか追記をしようと思います。

 

新しい記事を追加しました。

値段じゃない!電子ピアノの賢い選び方

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